日本の不動産市場や住宅事情の概要
かつては日本全国を土地バブルが席巻し、地方都市でも地価が上昇する傾向が生まれました。その頃には「土地神話」はより強固なものとなり土地などの不動産を保有することは、安定資産を手にしたのと同義だったというわけです。しかしその後のリーマンショックや少子高齢化と人口減少社会の到来は、近年の日本の不動産市場に大きな影響を与えています。かてて加えて今回の新型コロナウイルスの蔓延は、まだ終息時期は見通せない中でリモートワークの普及などといった新たな局面を向かえ今後の住宅事情の様相を一編させる可能性を秘めているのです。そこで今回は日本の不動産市場の概要と、今後予想される状況を御紹介します。

まず日本の不動産市場では首都圏や地方大都市圏と、地方圏との間で二極化が進んでいる事実を念頭におく必要があります。高齢化に加えて過疎化も深刻な地方エリアでは、大幅な地価の上昇などは見込めることはなく空き家の急増という未曾有の事態に直面することになります。翻って大都市圏、とりわけ東京都23区とその周辺エリアでは、今後も活発な取引と地価の高止まり傾向などが予想されているのです。近年の住宅事情で生まれた顕著ね変化は、東京などでも人気エリアとそれ以外の地域での二極化の進行を見て取ることができます。とりわけここ10年前と現在とで著明なトレンドを観察できるのは、駅近物件への需要が高まっているということです。都市圏での自動車保有率の急激な低下や、共働き世帯の増加などで買い物に出かけるにも毎日の通勤にも、利便性の高い物件が高く評価されています。とりわけ東京都心に位置する新宿・中央・渋谷・目黒・品川などでは中古マンションの人気は顕著で、人気エリアが集中している地域です。
ところでこのところのコロナ禍は、リモートワークの拡大や公共交通手段に内在する感染症罹患リスクなどが意識されて、一戸建て住宅への回帰が進むと予想する専門家もいます。新型コロナウイルス感染症の蔓延は、東京一極集中の弊害を浮き彫りにさせた側面があり、これまでの一極集中のながれからよりコンパクトで緩やかな通信ネットワークなどでつながる分散社会へ移行していく前兆と見ることも出来ます。これまで少子高齢化と世界に冠たる経済都市東京という単純な構図で未来予想図を描けば共通認識にたつことができるような、わかりやすい不動産市場ではなくなりつつあるのは確かなようです。仕事とライフスタイル、人生観なども踏まえて不動産市場の動向や住宅事情の変化に、敏感に向き合う時代が到来したと考えるべきかもしれません。