近年日本の少子高齢化が進み、特にそれが人口減少につながっているということで、住宅などの価格は下落するという予想が一般的です。確かに長い目でみればそれは間違ってはいないのですが、地域ごとにかなりその速度は異なっており、特に東京都内ではむしろ不動産価格の上昇が見られるほど活況を呈しています。

一つには東京五輪を控えているということで、来日した外国人向けの物件が多数出ており、それらへの需要が大きいということ、もう一つには東京の人口自体が増えているということです。全国的な人口減少はあっても、東京への流入はむしろ進んでおり、このことが住宅の需要を生んでおりしばらくは高止まりが続くものと考えられています。港区にある高輪は特にその傾向が強く、もともと山手線の沿線という非常に恵まれた立地から、不動産価格が安定している地域でした。
その上最近になって山手線の新駅、「高輪ゲートウェイ」ができるということで、さらに不動産の取引が活発になってきているのです。近隣の田町の駅前に巨大な複合施設が建設中だということもあり、また五輪の会場となる様々な施設へのアクセスも良いとあって、このエリアの物件を求める個人や法人は後を絶ちません。どちらかといえば住宅地というよりは商業施設や企業のオフィスが入っているビルが立ち並んでいたエリアでしたが、開発が進み駅もできるということでいわゆるタワーマンションのような高層階の不動産も急ピッチでいくつも作られています。
それに合わせて周辺の人口が増えることを見越して小中学校の統合や新設、それに飲食店などの出店も計画されており、まさに五輪を前にして最もホットなエリアだと言えるでしょう。問題なのは、五輪の後にこの好調を維持できるかということですが、それはやはり居住する人達の定着率にかかっています。昔からの住宅街に比べればまだ買い物に行くためのスーパーや病院などの生活インフラがやや弱いということもあり、そのあたりの強化が課題となるでしょう。
とはいえ、最大の強みである交通アクセスの良さということは五輪が終わったとしても失われませんので、やはり不動産の価値は当分の間安定するものと考えられます。新しく勢いのある街に住みたいと考える人や、そうした人が集まるところにビジネスチャンスがあると思って新たなお店を開く人など、多くの人がこのエリアの物件を求めているのです。そのためビジネスマンや投資家にとっても、個人にとっても非常に注目の町であると言えます。