不動産を購入する場合、名義の登記については、単独と共有の二つの種類があります。単独とは一人の名義で登記することであり、例えば夫の名義で住宅ローンを組み購入する場合には、その時の不動産の登記の名義は夫の単独のものとなります。その一方で共有と呼ばれるものは、一つの不動産に対して共同で出資して購入する場合に、出資した割合に応じて登記することを指しています。夫婦間で共有する場合に、例えば2500万円ずつを出し合って5000万円のマンションを購入した場合には、2分の1の持ち分で共有名義になり、資産共有ということです。

共有名義にすることによって、住宅ローン控除が夫婦それぞれに受けられたり、相続税の節税などのメリットが得られます。夫婦間の共有で不動産を購入した場合には、それぞれの収入に対し住宅ローン控除の適用がなされます。住宅ローン控除とは、住宅ローンの年末残高の1パーセントが、10年間減税される制度を指します。夫婦が共働きで共有名義にした場合には、それぞれの所得税や住民税に対して控除が使えることになるので、単独の時に比べると減税額が多くなります。この控除を夫婦それぞれに適用するためには、夫と妻が独自の住宅ローンを組む、もしくは夫婦のうちどちらかが連帯債務者となり住宅ローンを組まなければなりません。
反対にデメリットとして考えられることは、売却がしにくくなることです。夫婦間の資産価値であるため、売却しようとなった場合には共有している者全員が同意しなくてはなりません。万が一離婚した際には、この財産分与が大きな問題となることでしょう。夫がマイホームを売却したいと考えても、共有名義人となる妻がそれを拒否して住み続けたいといった場合には、売ることはできません。どちらか一方の単独に変更したい場合には、金融機関に連絡して承諾を得なければならないのです。また相続税が発生した場合には、所有者がどんどん増えていくことにもなり、複雑になってしまうことでしょう。
注意点としてあげられることは、持ち場について当事者が自由に決められるわけではないことをしっかりと頭に入れておきましょう。原則として持ち分は購入に出資した割合に応じ登記をする必要があります。どちらか一方のお金だけで購入した不動産を共有名義で登記した場合には贈与とみなされ、贈与税が課税される可能性もあるため注意が必要です。実際に購入資金を負担した割合に応じ、その持ち分を登記するということです。住宅ローン控除などのメリットが得られる半面、デメリットも発生することをしっかりと頭に入れておきましょう。